”ボロクソに”幼女戦記感想

※悪口です。批判じゃなくて、悪口を相当含みます。このアニメが好きな方は絶対に読まないでください。

 

 “あの”セーラームーンcrystalを最後まで耐え忍んだこの私をリタイアさせた恐るべきアニメ、それが幼女戦記

 このアニメに対する最終的な印象は「つまらない」と「胸糞悪い」の二つ。

 そう、つまらないだけではなく、胸糞悪いんです。具体的に言うと、人間を虐殺しているシーンが。私には単なる弱い者苛めに見えました。

 …こういうこと言うとね、「戦争の話なんだから仕方ないじゃん」って仰る脳味噌が小さい物語に関して寛容な方が一定数いらっしゃると思うので一応言っておきますとね、強敵との駆け引きを描かないことが問題。生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの勝負をしている物語なら私もそういう展開を(好きじゃないけど)「まあそういうものか」って受け入れられるんですけど、主人公のターニャはタナボタで手に入れた無敵の強さで弱い人間を虐殺します。その展開を繰り返します。

 あのぅ、私はこのアニメの楽しみ方が本格的に分からないんですけど。そして、これを評価している方がどうやってこのアニメを楽しんでいるかも想像できないんですけど。

 このアニメ、サラリーマンのおっさんが無敵の魔力を持つ幼女に転生するんですけど、この展開や設定自体は元々『幼女戦記』が掲載されていたなろう小説のオキニのものなんですね。転生っていう展開が人気なのは、この煩わしいしがらみがある現代社会を離れてまっさらな状態でやり直したいっていう読者の願望があるからこそだと思っていたんですけど、このアニメがある程度の人気を得ていることを受けてその認識を改めざるを得ませんでした。

 なぜなら、ターニャのしていることって、現代社会で問題とされていることそのものなんですよ。「軍は実力社会」なんて言っておきながら、タナボタで手に入れた力(←重要)でのし上がって軍の内外で立場が弱い者を虐殺することと、コネで有名企業に入社して部下に威張り散らしているクソジジイとどう違うのか、私には分かりかねます…。クソジジイを見て喜ぶ奴がいたら変態です。

要するに、このアニメが体現している人間の欲望って、「他人の褌で相撲を取る」ことなんじゃないかなぁと。現代社会に問題を感じているから他の世界に逃げたいやり直したいって言うよりは、財産や役職がある人がうらやましい、でも努力はしたくない、そんな人間の浅はかな願望を体現した結果なんじゃないかなぁと思いました。

 作者がどういうつもりでこの話を書いたのか知りません。作者自身現実逃避したくてこの話を作ったのかもしれないですし、「お前らはずっとそこで現状維持してればいいんだよバーカ」って内心鼻で笑って大真面目にこの話を書いたのかもしれません。まあどっちにしても、私はちょっと好きになれませんが…。

 もし、ストーリーにこのアニメの醍醐味が無かったとしたら、何が楽しいのでしょうか?間間で挟まれる知識披露?私はそれも納得できません。だって、2話(?)くらいでニーチェの「神は死んだ」っていう言葉がありがたく引用されるんですけど、明らかに使い方間違ってますから。意味はご自分で調べてくださいな(わたしゃ疲れた)。あと、思い出したように神様が登場して、ターニャが「神なんて」みたいな反応をするんですけど、一神教に対する理解も間違ってますよ、多分。まあ異世界の神様だから、って考えることもできるんですけど、似非中世ヨーロッパがモデルになっているところとか、ニーチェをわざわざ引用してくるところとかから判断して私は「一神教に対する理解が間違っている」って思いました。思っただけ。

 それに、戦記モノって言っても、ターニャが自分の知恵や力を振り絞り逆境を脱出する展開って殆ど…いや、皆無なんですよね。基本無敵パワーでごり押しして全部何とかなっているし。魔力さえ貰えれば私でもできますよ。うん、戦記モノとしてもダメ。

 となると…一体このアニメって何なんだ?

 あ、「胸糞悪い」ところの説明ばかりしましたけど、このアニメが「つまらない」理由は…戦記モノのいろはが分かってないところです。ってここまで読んでくれた方なら何となく想像できたと思いますけど。